Oura Ringと胸ベルトで心拍変動を41日比べました|一晩の平均が一致していたのは、偶然でした

本記事にはプロモーションを含みます。
夜のベッド脇のテーブルに置かれた黒い胸ベルトと銀色のリング

心拍変動を、41日間、2台で測りました。

指輪型のOura Ringと、胸に巻く心拍センサーです。片方は寝ているあいだ勝手に測ってくれます。もう片方は毎朝4分、自分で測ります。

2台の平均は、ほとんど同じ値になりました。それで一度は納得しました。

そのあと、測っている時間帯を揃えて比べ直したら、合わなくなりました。

目次

測ったもの

胸ベルトはPolar H10です。電極で心臓の電気信号を直接拾います。記録にはElite HRVというアプリを使いました。

Polar H10 の胸ベルト。中央に黒いセンサー本体があり、ベルトの内側に電極の粒が並んでいる
胸ベルトのPolar H10。帯の内側に並んだ粒が電極です

Oura Ringは指に着ける光学式で、LEDの光で血流の脈を見ています。2台は原理が違います。

心拍変動というのは、心臓が打つ間隔のばらつきです。1拍ごとの間隔は一定ではなく、わずかに伸び縮みしています。その揺れの大きさをミリ秒で表したものを使いました。数字が大きいほど、間隔がばらついています。

この揺れは自律神経の働きを映すとされていて、体が休息側に傾いているときに大きく、緊張しているときや疲れが残っているときに小さくなる傾向がある、と一般に説明されています。ウェアラブルが出す回復の目安は、たいていこの数字を主要な材料にしています。Ouraのコンディション、Whoopのリカバリー、Garminのボディバッテリー。名前は違っても、中身に入っているのはこれです。

絶対値は個人差が大きく、他人と比べる数字ではありません。自分の平常値から上がったか下がったか、を見るのが一般的な使い方です。つまり、日々の上下に意味を持たせて使う数字です。その上下を、原理の違う2台はどこまで同じように出すのか。それがこの記事で確かめたことです。

測り方はこうです。ベッドの横に胸ベルトを置いておいて、目が覚めたらそのまま寝た姿勢で着け、4分だけ測ります。起き上がりません。

4分のうち、最初の1分は捨てて、残り3分を使いました。着けた直後は値が落ち着かないためです。この処理の話は別に書きました。捨てていた区間におかしな拍が集まっていて、その1拍の扱いだけでその日の数字が2倍動く日もありました。

41日のうち1日は、まだ手順が定まっていなくて2分で止めていました。その日を除いた40日を使っています。

平均は、ほとんど同じでした

40日の平均です。

胸ベルトOura
心拍変動(ミリ秒)34.133.1
心拍数(1分あたり)63.966.9

心拍変動の差は1.0ミリ秒でした。原理の違う2台が、1ミリ秒差で並びました。

ここで止めていたら、2台は合っている、という記事になっていたと思います。

ただし、1日ごとには合いません

平均が合っていることと、日々の値が合っていることは別です。

1日ごとの差を並べると、95%が入る幅は、マイナス16.7からプラス18.7でした。平均が33なので、上下におよそ半分ぶん振れます。

前の日から上がったか下がったか、その向きが一致したのは39日中27日でした。

今日は心拍変動が上がった、と片方が言っているのに、もう片方は下がったと言っている日が、3割あります。

時間帯がずれているのだと思っていました

原因の見当はついていました。Ouraは一晩ぶん、胸ベルトは朝の3分です。測っている時間帯が違うのだから、合わなくて当たり前だろう、と。

それで、実際にどれくらいずれているのかを調べました。

Ouraは睡眠がいつ終わったかを記録しています。その時刻と、胸ベルトを測り始めた時刻を比べました。

差は、中央値でマイナス4.2分でした。

胸ベルトを測り始めてから4分ほど経って、ようやくOuraが「起きた」と判定しています。時間帯はずれていませんでした。むしろ重なっています。

理由は測り方にあります。Ouraは体の動きで起床を判定しているようです。寝たまま動かずに測っていたので、まだ寝ていることになっていました。

5分ごとの値を取り出しました

Ouraのアプリが見せてくれるのは、一晩の平均値です。ただ、開発者向けの窓口を通すと、5分ごとの値がそのまま取り出せます。

40晩ぶんで3,495個ありました。1晩あたり88個、7時間20分ぶんです。

これで、胸ベルトを測っていた時刻に近いところだけを取り出して、比べられるようになりました。

以下、Oura側を「就寝終盤30分」としたものは、睡眠の最後の30分の平均です。

心拍数は、揃えたら合いました

先に心拍数のほうです。

Oura側の取り方差の中心95%が入る幅相関
一晩ぜんぶの平均−3.03−10.1 〜 +4.10.531
就寝終盤30分+0.86−5.0 〜 +6.80.664

一晩の平均で比べると、胸ベルトのほうが3拍低く出ていました。時間帯を揃えると、その差は0.9拍まで縮みます。振れ幅も半分近くになりました。

3拍の差は、機器の違いではありませんでした。どの時間を平均するか、の違いでした。

心拍変動は逆でした

同じことを心拍変動でやると、こうなります。

Oura側の取り方差の中心95%が入る幅相関
一晩ぜんぶの平均+0.99−16.7 〜 +18.70.473
就寝終盤30分−7.97−26.4 〜 +10.50.557

相関は上がりました。0.473から0.557です。

ところが差の中心が、プラス1.0からマイナス8.0に動きました。時間帯を揃えたら、揃える前より離れました。

夜のあいだ、上がり続けていました

理由は、5分ごとの値を並べたら分かりました。

40晩それぞれを5等分して、区間ごとに平均した値です。

夜の区間心拍変動(ミリ秒)
1/5(寝入り)27.0
2/529.2
3/531.9
4/535.9
5/5(明け方)42.3

寝入りから明け方まで、下がる区間がありません。明け方は寝入りの1.6倍です。

一晩ぜんぶを平均すると、夜の真ん中あたりの値になります。それが33.1でした。

朝に測った胸ベルトの値は34.1です。近いところに並びました。

最初の一致は、偶然でした

整理します。

心拍変動は夜のあいだ上がり続けています。一晩の平均は、その途中の値です。朝に測った値は、それとは別の時刻の、別の状態の値です。

この2つが1ミリ秒差で並んだのは、2台が同じものを測って同じ答えを出したから、ではありません。上がり続けるものを端から端まで平均したら、たまたま朝の値の近くに落ちた、ということです。

時間帯を揃えるとOuraは42前後になります。胸ベルトの34より8ほど高い。こちらが本当の差です。

このサイトでは、数字が都合よく見えたときは、まずデータの選び方の影響を疑うようにしています。今回は、疑ったうえで確かめられました。平均する範囲を変えるだけで、一致して見えたり、しなかったりします。

同じ操作が、心拍数では逆に働きます。心拍数は揃えると合い、心拍変動は揃えると離れる。同じ2台、同じ40日、同じ操作です。

分からなかったこと

どちらが正しいかは、言えません。

測定器が2台あるとき、差が出ても、どちらがどれだけずれているのかは原理的に決まりません。式が1本に対して、分からないものが2つあるからです。これは弾道測定器で3台必要だったのと同じ理由です。

完全に同じ時刻での比較も、取れませんでした。Ouraの5分ごとの値は、胸ベルトを測り始める中央値8.4分前で終わっています。起床と判定するより前に、心拍変動の算出を止めているようです。理由は確かめていません。

Ouraのアプリが出す一晩の平均が当てにならない、という話でもありません。夜の平均としては正しい値です。用途が違うだけです。

この数字は私のものです

ここに出した値は、私の40日ぶんの記録です。夜のあいだ心拍変動が上がっていく形が誰にでも出るのかは、この記録からは分かりません。

指輪は第4世代です。同じ指輪を5年半つけた記録では、ひとつ前の世代から替えたときに、心拍変動の日々の振れが1割ほど小さくなりました。同じ世代どうしの個体交換では、何も変わりませんでした。つまり世代が違えば、ここに出した差も振れ幅も、そのままは当てはまりません。

同じことを確かめたい方は、ご自分で測ってみてください。5分ごとの値まで取り出せば、同じ比べ方ができます。

平均が合っている、という最初の結果は、間違いではありませんでした。合っている理由が、私の思っていたものと違っただけです。

毎日使っている道具が効いているかどうかは、まだ測っていません。心拍変動で確かめるつもりだと別の記事に書きましたが、今回はその手前の、測り方を確かめた段階です。

ここで出てきた話は、他の記事にも続いています。

この記事で使った機材

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この記事を書いた人

ゴルフ歴25年、自己ベスト78。2012年からゴルフの上達法をブログに書いてきました。
同時期に読書ノートのブログも運営し、約200冊分の記録を残しています。

現在は弾道測定器3台を使い、本で読んだ理論を実際に測って確かめる作業をしています。

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