曲がるパットだけは家で練習できなかった|PuttOUT Air Breakの2年

本記事にはプロモーションを含みます。
3Dプリンタで自作した三角形のレーザー装置。パター練習マットの上に置かれ、緑のレーザーが奥に届いている

ラウンドで打つパットの多くは、曲がります。ところが自宅での練習は、ほとんどまっすぐでした。

これは練習の工夫が足りなかったという話ではなく、パターマットという道具の構造上の問題だと思っています。2024年8月から PuttOUT Air Break(エアブレイク) を使っていて、その構造の問題がどう解かれているのかが、使ううちに見えてきました。

この記事は、フックラインとスライスラインを自宅で打てるようになって何が分かったか、という話です。

目次

普通のパターマットには、平らな場所がない

カップが付いたパターマットの多くは、カップの手前が登り坂になっています。

理由は単純で、床の上にマットを敷く以上、カップを床より下には作れないからです。ボールを受け止める窪みを作ろうとすると、周りを盛り上げるしかない。

その結果、こうなります。

  • カップの手前だけが登り
  • 傾斜の量は固定で変えられない
  • 傾斜の向きは上りだけ

つまり平らなライを打つ、という基本の練習ができません。距離感を測ろうとしても、登りの分だけ余計に強く打っている。その「余計な分」が何%なのか分からないので、コースの平らなラインに持っていけない。

曲がるパットにいたっては、そもそも打つ場所がありません。

Air Breakは、カップと傾斜を切り離した

Air Breakは、カップが基盤そのものに沈めてあります。直径4.25インチ、コースのカップと同じ径です。マットを盛り上げてカップを作っていないので、マット面は平らなままです。

和室に設置したPuttOUT Air Break。濃緑のマットの手前にカップが沈められ、周囲に赤いポンプのチューブが伸びている
8フィート(240cm)のマット。奥に見えるのがカップで、周りの赤いチューブが傾斜を作るポンプです。

そのかわり基盤に厚みが出るので、床に立つと自分の足元だけが低くなります。これは付属の打席台(ポディウム)で解消します。台には高さを4段階に変えられる脚が付いていて、作った傾斜に合わせて自分の高さを合わせられる仕組みです。

Air Breakの基盤と打席台が隣り合い、高さがそろっている様子。間に赤いポンプのチューブが通っている
左が打席台、右がマットの基盤。段差が出ないよう高さをそろえます。

要するにAir Breakは、「カップのための傾斜」と「練習のための傾斜」を分けたということです。前者は基盤の厚みと打席台で処理し、後者はゼロから自分で作る。

まっすぐなラインのストローク練習には、別の器具を3年使っていました。その顛末はWELLSTROKE と339ラウンドのパット数に書いています。

傾斜は、裏側の空気袋で作る

基盤の裏には、空気袋が並んでいます。

Air Breakの基盤裏に取り付けられた黒い空気袋。PuttOUTのロゴが入っている
基盤の裏に仕込まれた空気袋。これを膨らませたり抜いたりして傾斜を作ります。

ポンプで空気を入れ、バルブで抜く。この操作で基盤の各部が持ち上がったり沈んだりして、傾斜ができます。調整点は8か所。公式が公表している可動範囲はこうです。

傾斜の種類最大
横(左→右・右→左)8%
上り・下り(マット全体を通して)3%
上り・下り(1パネル内)8%

大事なのは横傾斜が左右どちらにも作れることです。上り一辺倒だった従来のマットとの、決定的な違いがここにあります。フックラインもスライスラインも、自分で作れる。

しかも横と縦は組み合わせられるので、「下りのスライスライン」という、いちばん怖い組み合わせも再現できます。

何%の傾斜なのかが、数字で分かる

作った傾斜は、スマホのアプリで測れます。

Air Breakのマット上に置かれたスマートフォン。画面に「左→右 2.7%」「4.5%」「下り 3.5%」と傾斜が表示されている
傾斜面にスマホを置くと、横・縦・合成の3つの数字が出ます。

これは実際に私が作った傾斜です。

  • 左→右 2.7%
  • 下り 3.5%
  • 合成 4.5%

傾斜面にスマホを置くだけで、この3つが表示されます。下りの3.5%は、さきほどの表でいう「1パネル内なら8%まで」の範囲で作ったものです。

数字が出ることの意味は、同じ傾斜をもう一度作れるという点にあります。感覚で作った傾斜だと、昨日と今日で違うものを打っていることになり、比較になりません。数字があれば「4.5%のスライスラインを10球」という練習が成立します。

タッチを変えると、曲がり幅がどれだけ変わるか

ここが、この器具をいちばん評価している部分です。

急な傾斜のショートパットで、タッチだけを変えて打ち比べる。これをやると、頭では知っていたはずのことが、体感として入ってきます。

  • 弱く打つと、大きく曲がる。想像よりもはるかに曲がります
  • 強気に打つと、ほとんど曲がらない。カップに蹴られるリスクは上がりますが、ラインは単純になります

文章にすると当たり前のことです。でも「4.5%のラインを、1m半から、弱いタッチで」と条件を固定して10球打つと、曲がり幅の実寸が分かります。カップ何個分外を狙えばいいのかが、知識ではなく映像として残る。

コースで似た傾斜に立ったとき、この映像が出てくるかどうかで、打てる強さが変わります。曲がり幅を読み違えるのが怖くて、なんとなく中間の強さで打つ——という一番よくない打ち方が減りました。

曲がるラインで迷わなくなったのは、読み方の理屈を覚えたからではなく、傾斜そのものを打った回数が増えたからです。

カップを塞いで、どの面から入れるかを決める

もう一つ、自作の器具を使っています。カップの縁に載せる、C字型のリングです。3Dプリンターで出力しました。材料はPLA。

Air Breakのカップの縁に載せた黒いC字型の3Dプリンター製リング。一方向だけが開いていて、右側にゴルフボールが置かれている
3Dプリンターで出力したPLA製。開いているのは一方向だけで、ここからしか入りません。

普通にカップを狙うとき、結果は「入ったか、入らなかったか」の二択です。ところがコースでは、同じ「入った」でも中身が違います。曲がり幅を大きめに読んで高い側から落とすのと、切れ足りずに低い側から転がり込むのとでは、打ち方が別物です。

このリングを載せると、その違いがそのまま練習の対象になります。開口部の向きを変えれば、「どの面から入れるか」を自分で指定できる。

これをフックラインやスライスラインと組み合わせると、面白くなります。

入ればいい、では通らなくなるからです。どの角度で入れるかを先に決めるので、打つ前に曲がり幅のイメージを作ることが必須になる。ラインを読んでから打つ、という順番が強制されます。

やっていることは単純ですが、「入った/入らない」の練習と、「狙ったところから入れる」の練習は、別物です。リング1つで後者に切り替わります。

形は単純なので、3Dプリンターがあれば作れる部類のものだと思います。カップの外径に合わせて、開口部を1か所だけ空けたリングです。

応用:Solid Gateを載せて、方向と強さを同時に問う

Air Breakのカップは、入れば飲み込みます。ありがたい機能ですが、そのかわり「どのくらいオーバーする強さだったか」が残りません。

そこでカップは使わず、マット上の別の位置に Solid Gate(ソリッドゲート) を置いています。

ベノックという京都のパターメーカーが作っている、アルミ削り出しのパッティング練習器です。15×14×5cmと小さい。カップの代わりに、これを狙って打ちます。

Air Breakのマット上に置かれたアルミ削り出しのSolid Gate。2段の階段状になっている。奥にAir Breakのカップが見える
2段の階段状になっています。奥に見えているのがAir Break本来のカップ。今回はそちらは使いません。

構造がよくできていて、こうなります。

  • 方向が合っていて、50cmオーバーの強さ → 1段目で止まる
  • 方向が合っていて、1〜1.5mオーバーの強さ → 2段目で止まる

つまり方向と強さの両方が揃わないと、段に乗りません。

これを傾斜の上でやると、要求が一段跳ね上がります。平らなら「まっすぐ・適正な強さ」で済むところが、傾斜では「読んだ曲がり幅どおりに出して、かつその読みに合う強さで打つ」ことになる。どちらかがずれると、段に乗らない。

カップ相手だと、強すぎても弱すぎても、たまたま入ってしまうことがあります。Solid Gateにはマグレがありません。

ただし、狙いがまっすぐでないと意味がない

ここが落とし穴でした。

Solid Gateは狙った方向に出せている前提の器具です。アドレスの向きがずれていると、段に乗らない原因が「読み」なのか「強さ」なのか「そもそもの向き」なのか、切り分けられません。

そこでSolid Gateを打つ前に、2つの器具で「まっすぐ」を作ります。

Wellstroke(ウェルストローク)

フランス製のストローク用テンプレートです。81 × 20cm、厚さ1cm。表面にパターヘッドの軌道とスイートスポットの軌道がプリントされていて、それをなぞるように振ります。ジョーダン・スピースのコーチ、キャメロン・マコーミック監修。パターのライ角やヘッド形状に合わせて、アークを12・15・18・21・24度の5種類から選ぶ形です。

私が評価しているのは、スイングアークだけでなくボールの置き位置とスタンスまで確認できる点です。目線がずれて構えると、ボールのイラストからはみ出た線が見える。この見え方が、構えのずれを教えてくれます。

Air Breakのマットの上に置かれたWellstroke Arc 12。右上に12°の表示があり、中央にボールが置かれている
私が使っているのは12度。左端に写っているのがSolid Gateです。

持っているのは12度のモデルです。ただしいまは、アークをなぞる用途では使っていません。

2022年に買ったときはピン型のパターを使っていて、円弧をなぞるのが目的でした。2025年に L.A.B. Golf DF3 ——まっすぐ動かすタイプのパター——に替えてから、その使い方は噛み合わなくなりました。いまはパターを複数、使い分けています。

それでも手放していないのは、アーク以外の機能が効くからです。ボールの置き位置とスタンスの確認。そしてこのあと出てくるレーザーを合わせるための基準面。この2つは、パターの種類に関係なく使えます。

道具のほうは何も変わっていないのに、パターを替えたら役割が入れ替わりました。アークをなぞる道具としての答え合わせは、別の記事に書いています。

自作の方向確認器

市販品ではありません。自分で作った、レーザーを一直線に飛ばすだけの装置です。作り方はパターの向きを見る道具を、21回作り直しましたに書いています。

Wellstrokeの上に置かれた黒い三角形の自作装置から緑色のレーザーが伸び、奥のSolid Gateの窪みに緑の光点が当たっている
自作の方向確認器。緑のレーザーが、奥のSolid Gateの窪みに当たっています。

使い方はこうです。Wellstrokeにプリントされたボールとパターヘッドのイラストに装置を合わせ、そこから出たレーザーがSolid Gateの窪みに当たるように、Solid Gate側の位置を調整します。

これで「Wellstrokeどおりに構えて、まっすぐ出せば、Solid Gateに届く」という状態ができます。

この一手間を踏んで初めて、Solid Gateの練習が効き始めます。段に乗らなかったとき、それが読みか強さのどちらかの問題だと言い切れる状態を作ってから打つ、ということです。

重いボールで、芯と押しを確認する

ふだんの練習は普通のボールです。そこにときどき混ぜているのが、ムジークの e-PUTT BALL 90 です。通常のボールと同じ大きさで、重さはおよそ2倍。数字の「90」がそのままグラム数です。

muziik e-PUTT BALL 90。通常のゴルフボールと同じ大きさで、青いラインが引かれている
見た目は普通のボールです。持つと明らかに違います。

江連忠プロとの共同開発で、70・80・90の3種類。90はメーカーが「プロ・上級者、重いパターを使うゴルファー向け」としているもので、1m以内の練習に向くとされています。

重い球の何がいいかというと、ごまかしが効かないことです。

  • 芯を外すと、思ったように転がらない
  • フェース面で「押す」動作をしないと、そもそも届かない

最初は面白いほどショートします。フォロースルーを意識して打つようになると、届くようになる。

これがSolid Gateとよく噛み合います。Solid Gateは方向と強さの両方を要求する器具ですが、その手前の「芯で捉えて、押して出す」ができていないと、そもそも土俵に上がれません。重い球は、そこを毎球チェックしてくれます。

使うときは、Air Break本来のカップに向けても、Solid Gateに向けても使います。ただし常用はしていません。普通のボールで打つなかに、ときどき挟む程度です。

練習の順番

つまり私の場合、こういう順番になっています。

  1. Wellstrokeで、構えとボール位置を作る
  2. レーザーで、狙いを合わせる
  3. 重いボールで、芯と押しを確認する
  4. Solid Gateで、方向と強さの答え合わせをする

最後のSolid Gateだけが答え合わせで、前の3つはその準備です。準備を飛ばすと、段に乗らなかった理由が「読み」なのか「打ち方」なのか分からなくなり、練習が回りません。

なお3の重いボールは毎回ではありません。普通のボールで打っていて、感覚が怪しいときに挟みます。

この練習を何球やれば道具の差が見えるのかは、別に計算しました。「替えてから良くなった」を確かめるには、何ラウンド必要かに書いています。ラウンドで比べると1本あたり約210ラウンド必要でしたが、ここで打つなら約290球で足ります。

正直に言うと、Air Breakは必須ではない

この練習自体は、Air Breakの上でなくてもできます。

Solid GateもWellstrokeも単体で成立する器具で、床に置けば同じことができる。私がAir Breakの上でやっているのは、せっかく2.4mのスペースを占有しているのだから活用したいという、それだけの理由です。

違いを挙げるなら傾斜を足せることですが、そこまで必要かどうかは人によります。

TGLのグリーンの、家庭版

傾斜が自在に変わるグリーンというと、TGLを思い浮かべる人もいると思います。

TGLは、タイガー・ウッズとローリー・マキロイらが立ち上げた屋内のチーム対抗リーグです。巨大スクリーンにショットを打ち、グリーンまわりだけは実物の可動グリーンで行います。このグリーンの下には 567基の油圧ジャッキ が仕込まれていて、ホールごとに傾斜が変わる。

Air Breakは、あの発想を空気袋に置き換えて家庭サイズにしたもの、と考えると分かりやすいと思います。規模はまったく違いますが、グリーンの傾斜が可変であるという一点は同じです。

日本でTGLを見る方法と、2シーズン追いかけて分かったことは別の記事にまとめました。

スペックと価格

全長240cm(8フィート)
幅67cm(マット部は60cm)
折りたたみ時幅82cm × 奥行30cm × 高さ67cm
カップ直径4.25インチ(コースと同径)
マットの速さスティンプ10
傾斜の調整点8か所
打席台40 × 60cm、高さ4段階
返球電池式の自動返球
アプリ無料(iOS。Android版は準備中)
価格¥79,800(税込・日本公式サイト)

12フィート版の「AirBreak Max」もあります。専用の収納バッグは別売で¥19,800です。

気をつけたほうがいい点

安くありません。¥79,800です。パターマットとしては明らかに別の価格帯にあります。

2.4mの場所が要ります。折りたためますが、畳んでも高さ67cmの塊になります。出しっぱなしにできるかどうかで、使う頻度がはっきり変わる器具です。

アプリはiOSのみです。(2026年8月時点)Android版は準備中とされています。なおアプリは本体がなくても無料で使えるので、グリーンの傾斜を測る道具としてだけ先に試すこともできます。

打てるのは2m弱まで。ロングパットの距離感には使えません。ショートパット専用と割り切る器具です。

もっと長い距離で方向だけを比べたいときは、別の測り方になります。8ヤードでパター3本の打ち出し方向を比べた話は、カメラ式の計測器で測っていて、ボールの転がりは見ていません。

2年使って

2024年8月に、クラウドファンディング(GREEN FUNDING)で入手しました。現在は日本公式サイトのほか、Amazonや楽天でも扱いがあります。

使用頻度は毎日ではありません。ただ、パット練習をするときは必ずこれを使う、という形で定着しています。頻度がそれほど高くないのは器具の問題ではなく、私がショットの練習を優先しがちだからです。

買って2年経っても、置き場所を返上する話にはなっていません。私の練習器具では、そう多くない部類です。

まとめ

  • 普通のパターマットは、カップを作るために傾斜が要る。だから平らなライがない
  • Air Breakはカップを基盤に沈め、段差を打席台で処理して、マット面を平らにした
  • そのうえで裏の空気袋で好きな傾斜を作る。横は左右どちらにも8%まで
  • アプリで角度が数字で出るので、同じ傾斜を再現できる
  • 急傾斜のショートパットで、タッチと曲がり幅の関係を体で覚えられる。これが本番でいちばん効く
  • カップを塞ぐリングやSolid Gateを足すと、「入る∕入らない」の練習から「狙った面から入れる」の練習に変わる

Air Breakを置いている6畳の練習環境そのものについては、こちらにまとめています。

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この記事を書いた人

ゴルフ歴25年、自己ベスト78。2012年からゴルフの上達法をブログに書いてきました。
同時期に読書ノートのブログも運営し、約200冊分の記録を残しています。

現在は弾道測定器3台を使い、本で読んだ理論を実際に測って確かめる作業をしています。

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