2022年5月に買った練習器具があります。3年間、ラウンド前の練習の8割で、スイングアークをなぞるために使っていました。
2025年4月、パターを替えました。その日から、アーク練習としては使わなくなりました。
同じパッティング練習でも、傾斜を作れるPuttOUT Air Breakは用途が違います。こちらはいまも使っています。
壊れたわけでも、飽きたわけでもありません。合わなくなったのです。
結論:どんな人に向くか
向いている人
- ピン型など、ストロークが円弧を描くパターを使っている人
- 自分のストロークの形が分からず、毎回違う振り方になっている自覚がある人
- ラウンド前の練習グリーンで、短時間で感覚を作りたい人
向いていない人
- ゼロトルクなど、フェースを開閉させない設計のパターを使っている人
- 1万円弱を練習器具に払うことに抵抗がある人
3つ目の「向いていない人」が、私の身に起きたことです。詳しくは後で書きます。
何のための器具なのか
WELLSTROKE(ウェルストローク)は、フランスの Wellputt 社が作っているストロークのテンプレートです。私が買ったのは Arc 12 という、12度のアークに対応したモデルです。
パターのストロークは、まっすぐ引いてまっすぐ出すわけではありません。体の回転にともなって、わずかに内側へ引かれ、内側へ抜けていきます。この円弧の大きさは、パターの形状やライ角によって変わります。12度というのは、その円弧の度合いです。
布の上にヘッドの通り道が印刷されていて、その上をなぞるように振る。それだけの道具です。
買った理由
当時使っていたのは Fuso Dream の SP-005 でした。ネックがスワンネックという特殊な形をしていますが、ピン型です。
ピン型はフェースが開いて閉じる、いわゆるアーク型のストロークになります。ところが自分が実際にどう振っているかは、分かりませんでした。
構えの向きが自分では見えないのと同じ話です。

打ち方の正解を知りたいというより、毎回同じ形で振れているのかを確かめたかった。それが買った理由です。
使い方
ラウンド前の練習グリーンで、8割の頻度で使っていました。
使わなかったのは、スタート前に練習の時間が取れなかった日だけです。3年間、ほぼ毎回持って行っていたことになります。
ラウンド前にやることは、これだけではありません。家を出る前には、5年半ずっと乗り続けている器具があります。

家でも使いましたが、本領はこちらでした。芝の上に置いて、数分なぞる。それだけでフィーリングが整いました。
持ち歩けたのは、布製だからです。 硬い板ではなく、丸めてバッグに入れられます。3年間ほぼ毎回持って行けたのは、これが理由でした。重い板だったら、たぶん家に置きっぱなしになっていたと思います。
使ってみて分かったこと
良かった点:ヘッドのイラストが印刷されている
これが類似品との決定的な違いです。
同じような練習器具はいくつもありますが、線だけが引かれているものが多い。WELLSTROKE はパターヘッドの形そのものがイラストで印刷されています。
線をなぞるのと、ヘッドの絵に自分のヘッドを重ねるのとでは、伝わり方がまるで違います。線だと「どこを通るか」しか分かりませんが、イラストだとフェースがどちらを向いているべきかまで見えます。
イメージが湧く、というのはこういうことだと思います。
良かった点:短時間で感覚が戻る
ピン型を使っていた頃は、これをなぞるだけでフィーリングが整いました。
スタート前の練習グリーンは時間が限られています。5分しかない日でも、この上を何度か振れば、その日の振り方が決まる。3年続いたのは、この即効性のおかげです。
気になった点:高い
9,986円です。布です。
線とイラストが印刷された布に1万円弱、と考えると高い。安い類似品もあります。ただ前述のとおり、私はイラストの有無に価値を感じたので、後悔はしていません。
「高いけれど、その差は使えば分かる」 というのが正直なところです。

効果は数値で出たのか
ここからは、ガーミンに残っている339ラウンド分のパット数で検証します。
このパット数がどう記録されているかは、ウォッチ側の記事に書きました。

まず結論から書きます。パット数では、この器具の効果は測れませんでした。
期間で分けて比べる
3つの時期に分けました。
| 期間 | 内容 | ラウンド数 | 平均パット |
|---|---|---|---|
| A | 器具なし・ピン型(〜2022年5月) | 87 | 33.07 |
| B | 器具あり・ピン型(2022年5月〜2025年3月) | 162 | 33.68 |
| C | ゼロトルク・器具なし(2025年4月〜) | 90 | 34.72 |
買ってからのほうが、パット数は増えています。 AからBで+0.61打。統計的には偶然の範囲でした(p=0.10)。
そして C では、さらに1打増えています。
ただし、これは器具のせいではありません
同じデータを、もう一段分解します。
| 期間 | 合計スコア | パット数 | パット以外 |
|---|---|---|---|
| A | 92.53 | 33.07 | 59.46 |
| B | 91.06 | 33.68 | 57.38 |
| C | 91.24 | 34.72 | 56.52 |
パット以外の打数が、3打近く減っています。

グリーンに乗る回数が増えれば、パット数は増えます。遠いところから2パットで収まるからです。逆にグリーンを外してアプローチが寄れば、1パットが増えてパット数は減ります。
つまりパット数は、パッティングの巧拙よりも「どこからグリーンに乗ったか」で決まる部分が大きい。 アイアンが良くなるとパット数は増えるのです。
私の合計スコアは、3期間を通じて91〜92でほぼ変わっていません。パット以外が3打減り、パットが1.6打増えた。この打ち消し合いが起きていました。
正しく測るには何が要るか
パット数ではなく、ストロークゲインド・パッティングのような指標が必要です。何メートルから打って何打で入れたか、を距離ごとに評価するものです。
ガーミンでも、Approach CT10 というクラブに付けるセンサーを使えば近いものが取れます。私は持っていません。手持ちのデータでは、ここまでが限界でした。
その後、ホール単位まで落としたら一段だけ測れました。入れたいパットのために替えて、効いたのは遠いパットのほうでしたに書いています。遠いところからの3パットと、寄せたあとの3パットを分けると、動いていたのは前者だけでした。
続けているか、やめたか
アークをなぞる練習としては、やめました。2025年4月、パターを L.A.B. Golf DF3 に替えた日からです。ただし器具そのものは手放しておらず、いまも別の用途で使っています(記事の最後に追記しました)。
3年間、ラウンド前の8割でなぞっていた円弧を、その日から一度もなぞっていません。
理由ははっきりしています。振り方が変わったからです。
DF3 はゼロトルクパターです。ヘッドの重心設計によって、ストローク中にフェースが開いたり閉じたりしにくくなっています。その結果、円弧を描くのではなく、まっすぐ動かす感覚になりました。
一方、私が持っている WELLSTROKE は Arc 12 です。12度の円弧をなぞるための道具でした。
なぞるべき道と、パターが通りたがる道が、逆になった。なぞるほど邪魔になります。だからアークの練習はやめました。
ここから学んだこと
練習器具は、いま使っている道具と紐づいています。
当たり前のようですが、買うときには考えませんでした。「パッティングが上手くなる道具」を買ったつもりでいたからです。実際には「アーク型のストロークを整える道具」を買っていた。
クラブを替えたら、練習器具も見直しが要る。3年使って、最後にこれを教わりました。
器具が悪かったのではありません。 ピン型を使っていた3年間、これはよく働いてくれました。
同じ目的なら他にどんな選択肢があるか
線だけのストロークテンプレート
安いものは数千円からあります。前述のとおり、私はヘッドのイラストがあるほうが良いと思いますが、価格差ほどの違いを感じない人もいるはずです。
ゼロトルクパターを使っているなら、ラインを作るタイプ
私がいま使っているのが、これに当たります。Alignment Ball(アライメントボール)という、フランス製の器具です。糸を張ってパッティングのラインを作れるもので、5メートルまで伸ばせます。アークをなぞるのではなく、フェースをラインに対してスクエアに構えて、その線の上を転がすという使い方になります。
パッティング以外に、アドレスの向きの確認やショットの軌道づくりにも使えます。40ユーロです。こちらは使い込んでから、あらためて記事にします。
パターそのものを替える
身も蓋もありませんが、私の場合は器具ではなくパターを替えたことのほうが、振り方への影響がはるかに大きいものでした。
まとめ
WELLSTROKE Arc 12 を2022年5月に買い、3年間、ラウンド前の練習の8割で使いました。ヘッドのイラストが印刷されている分、線だけの類似品よりイメージが湧きます。1万円弱は高いですが、後悔はしていません。
339ラウンド分のパット数で効果を検証しましたが、数字は出ませんでした。 買ってからのほうがパット数は増えています。ただしこれは器具のせいではなく、パット数という指標がパッティングの巧拙を測れていないためです。パット以外の打数は3打減っていました。
そして2025年4月、ゼロトルクパターに替えた日から、アークをなぞる用途では使わなくなりました。アークをなぞる道具と、まっすぐ動かすパターは、噛み合わなかったからです。アークをなぞる役目は、いまは Alignment Ball という別の器具に移りました。
練習器具を買うときは、それがどんな振り方を前提にしているかを見てください。私は3年後に気づきました。
追記:手放してはいません
この記事を書いたあと、自分でも整理がついたことがあります。
やめたのは「アークをなぞる」という使い方であって、器具そのものは今も使っています。ボールの置き位置とスタンスの確認、それと自作したレーザーの方向確認器を合わせる基準面として、パッティング練習のたびに敷いています。
この2つの機能は、パターの種類に関係なく働きます。アークだけがパターに依存していた、ということです。
買ったときは「パッティングが上手くなる道具」のつもりで、実際には「アーク型のストロークを整える道具」だった——と本文に書きました。いまの答えはもう一段先で、「アークの道具でもあり、構えの道具でもあった」です。前者はパターを替えて要らなくなり、後者は残りました。
残った側の使い方は、傾斜を作れるパターマットの記事にまとめています。


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