13年前、私は写真2枚でスライスを説明した
2013年3月、当時運営していたブログにスライスの記事を書きました。
インパクト直前のドライバーを、2人分並べた写真です。片方はドロー、片方はスライス。ぱっと見はほとんど同じに見えるけれど、2箇所だけ決定的に違う——そういう構成でした。

当時の私はこう書いています。
スライスに悩んでいる人の9割以上は、この「アウトサイド・インのスイング軌道」でスイングしていると言っても過言ではありません。
そして解決策として、「インパクトの瞬間まで脇を締める」ことを勧めていました。
13年経ちました。同じテーマをいま書くとしたら、私はかなり違う書き方をします。
当時の私が間違っていたわけではありません。観察としては正しかった。 ただ、説明が一段抜けていました。
まず、当時の説明を整理する
何が違っていたのか
写真で指摘したのは2箇所です。
1つ目は、ヘッドとボールの位置関係。 ドローの人はヘッドがボールより内側から入ってくる。スライスの人は外側から入ってくる。これがインサイドアウトとアウトサイドインの違いです。
2つ目は、脇。 ドローの人は脇が締まっていて、スライスの人は開いていた。
腕が体から離れれば、クラブは体の外側を通ります。結果としてヘッドはボールの外から入りやすくなる。だから「脇を締めろ」と。
この因果関係自体は、いまも否定しません。
当時つけた注意書きは、いま読んでもいい
自分で書いたことですが、この部分はよく書けていたと思います。
バックスイングでインサイドに引きすぎないこと。
インサイドに引きすぎると、トップからの切り返しでかえって外から降りてきやすくなります。「インサイドアウト軌道にする」というのは、バックスイングでインサイドに引くという意味ではありません。
ここは13年経っても同じことを言います。むしろ、いま読んでも書き足すことがないくらいです。
抜けていたのは「フェース」の話
さて、本題です。
13年前の記事を読み返して、はっきり分かったことがあります。あの記事には、フェースの向きの話が一言も出てきません。
なお、当時は見えていなかった「自分の構え」を可視化するために、いまは器具を使っています。Wellstance と i.Plane Pro の併用がそれです。
軌道の話だけで、スライスを説明しきったつもりになっていました。
ボールはどこへ飛び出すのか
当時の私は、暗黙のうちにこう考えていました。
ボールはクラブの軌道の方向に飛び出し、その後カーブする
長く常識とされてきた説明です。私が習ったときも、そう教わりました。
しかし、実測によってこれは正確ではないことが分かっています。
現在確立している理解は、こうです。
| 何が決まるか | 主に何で決まるか |
|---|---|
| 飛び出す方向 | フェースの向き |
| 曲がる方向と量 | フェースの向きと軌道の差 |
ボールが最初にどこへ出ていくかは、軌道ではなくフェースがどこを向いていたかで大きく決まります。軌道の影響は、思っているより小さい。
そして曲がりを生むのは、フェースと軌道のズレです。この差を「フェーストゥパス」と呼びます。
つまり、こういうことが起きます

この理解に立つと、13年前の説明では扱えない現象が見えてきます。
アウトサイドインに振っていても、スライスしないことがあります。 フェースがそれ以上に左を向いていれば、ボールは左に出て、左に曲がります。いわゆる引っかけフックです。
逆に、インサイドアウトに振っていてもスライスします。 フェースが軌道より右を向いていれば、ボールは右に曲がる。「インサイドから振れているのにスライスする」と悩む人がいるのは、これが理由です。
つまり——スライスの直接の原因は、軌道そのものではありません。 フェースと軌道の差です。
13年前の記事に起きていたこと
当時の私は、アウトサイドイン軌道とスライスを、ほぼイコールで結んでいました。
実際には、アウトサイドインに振り下ろす人はフェースを開いたまま当てやすい。だから両者の相関は高く、「9割はアウトサイドイン」という観察は外れていません。
ただ、因果としては一段飛ばしていました。
❌ 13年前の説明: 軌道 → スライス
✅ いまの説明: 軌道 → フェースとの差 → スライス
間に一つ挟まっただけに見えますが、この一段があるかないかで、直し方が変わります。
では、何から直せばいいのか
理屈で言えばフェースが先
飛び出す方向を決めているのがフェースなら、まずフェースを手当てするのが合理的です。グリップ、そしてインパクトでフェースがどう返っているか。
実際、「スライスが止まらない」という人の多くは、フェースが開いたまま当たっています。軌道をいじる前に、ここが解決していないと堂々巡りになります。
ただし現実には、両者は連動している
とはいえ、軌道とフェースは切り離せません。
外から振り下ろす動きは、フェースを開いたまま当てる動きと結びつきやすい。だから当時の「脇を締める」というアプローチも、間接的には機能します。実際、それで良くなった人はいるはずです。
「脇を締める」を、いま評価すると
| 評価 | 内容 |
|---|---|
| ✅ | 軌道を内側から入れる方向に働く |
| ✅ | 体と腕の一体感が出て、再現性が上がる |
| ⚠️ | これだけでは、フェースが開いたままの人は直らない |
| ⚠️ | 締めすぎると窮屈になり、別の問題が出る |
「これをやれば直る」ではなく「これは要素の1つ」。 それが13年後の答えです。
その前に、構えを疑ってください
軌道の話をする前に、確認しておきたいことがあります。
そもそも、目標を向いて構えられていますか。

構えが右を向いていると、そのままではボールは右に飛びます。だから体は無意識に修正しようとして、外から振り下ろす。アウトサイドインが「症状」であって、「原因」は構えだったというケースは、非常によくあります。
そして厄介なのは、これが自分では分からないことです。
同伴競技者が右を向いて構えていれば、一目で分かります。それなのに、自分のアドレスは案外分からない。プロでさえ、練習中にキャディへ確認してもらっている光景をよく見かけます。見えないものは、誰かに見てもらうか、道具に頼るしかありません。
私は現在、Wellstanceというアドレス補助器具を使っています。ミラーがついていて、クラブごとに足の位置が決まるので、目標に対してスクエアに構えられているかをその場で確認できます。ただミラーの精度は高くありません。
私の場合は、自分ではまっすぐ構えているつもりでも、右肩が出ている感じでオープンスタンスになってました。
私自身も、ここで躓いていた可能性があります。自宅のマットに貼ったボール位置のマーカーが、80球すべてを同じ方向に曲げていた疑いがあります。構えの固定は、直す対象にもなります。
体感では、まず分かりません
正直に書きます。
私は長いあいだ「インサイドから振れている」と思い込んでいました。
体感というのは当てになりません。振っている本人の感覚と、実際にクラブが通っている軌道は、別物です。ましてやフェースが何度開いていたかなど、感じ取れるものではありません。
いまは個人でも測れる時代です。私はGarmin Approach R10で、クラブパスとフェース角を確認しています。

測定器がない場合の確認方法
すぐに測れない方のために、目安になる方法を挙げておきます。
- 打ち出し方向を見る — 目標より明らかに右に出るなら、フェースが開いている可能性が高い
- 曲がり方を見る — 真っすぐ出て右に曲がるのか、右に出てさらに右に曲がるのか。この2つは別の症状です
- ディボットの向きを見る — 目標線に対してどちらを向いているか。軌道の手がかりになります
- スマートフォンで後方から撮る — 13年前の私がやっていたことです。道具がなくても、これだけで気づくことはあります
そして最も確実なのは、人に見てもらうことです。前の項でも書いたとおり、他人の構えは一目で分かるのに、自分のことは分からない。レッスンを受ける価値は、たぶんそこにあります。

まとめ
13年前の観察は、いまも外れていません。スライスに悩む人の多くがアウトサイドインで振っている——これは事実です。
ただし、説明が一段抜けていました。スライスの直接の原因は、軌道そのものではなくフェースと軌道の差です。
「脇を締める」も有効な要素ではありますが、それだけでは足りませんでした。フェースが開いたままなら、軌道を直してもスライスは残ります。
そして何より、自分のスイングは体感では分かりません。 いまは測定器で測ることも、スマートフォンで撮ることも簡単にできます。感覚ではなく、データで確認してみてください。
次回:これを数値で確かめます
理屈は整理できました。では、実際のところ何度変わるのか。
「脇を締める」を意識したとき、クラブパスは何度動くのか。そのときフェース角はどうなるのか。フェーストゥパスの差は縮まるのか。
次の記事では、通常のスイングと意識的に脇を締めたスイングを各10球以上、Garmin Approach R10で実測して比較します。
13年前の自分の主張に、数字で答えを出します。
※ その後、実際に測ってみました。ところが練習場で測った数字と、コースでの球筋が食い違いました。その顛末は別の記事に書いています。

「13年前のブログを検証しているシリーズ」




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