測定器のキャリーは、設定で増減できる数字でした

本記事にはプロモーションを含みます。
6畳の和室。マットの上に白いゴルフボールが1球、その横に小さな測定器。奥はネット

8月の下旬に、長野の蓼科でゴルフをする予定がありました。標高1000メートル級の高原です。

高いところでは球が飛ぶ、とよく言われます。自分の測定器を持っていけば、それを確かめられると思いました。

出発前に、Square Golf Omni の設定画面を開きました。標高の項目を探すためです。

ありませんでした。

Square Golf Omni が出す数字の3つの層。実測値、計算値、利用者の補正が掛かる値
目次

標高の設定はありませんでした

気温もありません。気圧もありません。

代わりに「キャリー距離調整」という項目がありました。標高や気温から自動で補正するものではなく、利用者が自分で数字を入れる欄です。ここに入れた値のぶんだけ、表示されるキャリーが増えたり減ったりします。

私の設定は+0%でした。目盛りは−10%から+10%まであります。クラブごとではなく、全体に共通で掛かります。

この画面に並んでいるのは、言語、サーバの場所、キャリー距離調整、距離の単位、速度の単位といった項目です。標高を入れる場所はどこにもありません。

Square Golf Omni の設定画面。キャリー距離調整は+0%、目盛りは−10%から+10%まで

+0%以外にすれば、同じ球を打っても画面に出るキャリーが変わることになります。どれくらい変わるかは試していません。

Omniが表示するキャリーは、この設定を通ったあとの数字でした。今まで気づいていませんでした。

探すものが変わりました

標高の設定がないということは、この機械はキャリーを計算するときに空気の濃さを見ていない可能性があります。

見ていないなら、蓼科で打っても自宅で打っても、同じ球なら同じキャリーが出ます。高いところで飛ぶかどうかは、この機械では確かめられません。

ただし、設定に項目がないことと、計算に使っていないことは、同じではありません。端末の気圧センサーを黙って読んでいる、ということも理屈の上ではありえます。

そこで、確かめる先を変えました。高地で飛ぶかではなく、Omniのキャリーは何でできているか。

この測定器を6畳に置いた初日は、Square Golf Omni を6畳に置いた初日と書きました。今回はその手前の話になります。表示されている数字が、どこから出ているのか。

手元に409球の記録がありました

新しく球を打つ必要はありませんでした。自宅の6畳の練習部屋で測った記録が残っています。

合わせて409球。日は3日に分かれていて、測定器を立ち上げ直した回数は14回です。

このうち、球の速さが揃っている範囲だけを取り出しました。3日ぶんで共通する秒速7.9メートルから15.7メートルまで。残ったのは346球です。キャリーは6.3ヤードから23.8ヤード、平均11.7ヤードでした。

打ち出しの3つの数字から、キャリーを計算してみました

使ったのは、Omniのカメラが直接見ている数字だけです。ボール初速、打ち出し角、スピン量。この3つです。

着地角も総距離もランも使いません。それらもキャリーと同じく計算で出ている数字なので、混ぜると確かめたいことが確かめられなくなります。

やり方は、3つの数字からキャリーを言い当てる式をデータに合わせて作る、というものです。式が当たれば当たるほど、Omniのキャリーは計算で出ていることになります。

結果です。

式の形説明できた割合食い違いの標準偏差
3つをそのまま足す式99.42%0.342ヤード
2乗と掛け合わせを加えた式99.96%0.086ヤード
もう1段細かくした式99.98%0.067ヤード
初速・打ち出し角・スピン量の3つだけで、キャリーは再現できる。346球の散布図

0.067ヤードは約6センチです。346球のうち、いちばん外れた球でも0.18ヤードでした。

食い違いは、表示の刻み幅に近いところまで小さくなりました

Omniのキャリーは0.1ヤード刻みで表示されます。小数点以下2桁目は画面に出てきません。

それだけで、画面の数字と本当の値の間に0.029ヤードのばらつきが生まれます。約2.6センチです。四捨五入でも切り捨てでも、幅が0.1ヤードであることは変わらないので、ばらつきの大きさは同じになります。

計算した値と表示の食い違いは0.067ヤード。表示の刻みが生むばらつきの2倍ほどのところに収まっています。

計算した値と表示の食い違いの分布。表示の刻み幅の2倍ほどに収まっている

実際に飛んだ球なら、こうはなりません。同じ初速・同じ角度・同じスピンで打っても、風やボールの個体差で結果は動きます。6センチに収まるのは、飛んでいないからです。

クラブの種類は、キャリーの数字に入っていません

次に、式にクラブの区別を足してみました。同じ打ち出し条件でも、サンドウェッジで打ったときとピッチングウェッジで打ったときで、Omniのキャリーがずれるかどうかを見るためです。

ずれませんでした。クラブの区別を足しても、当たり方はまったく良くなりません(F値0.30、p値0.83)。区別による差は、いちばん大きいものでも0.038ヤードでした。

4本のロフトは56度から41度まで、15度の開きがあります。ヘッドもシャフトも別物です。それでも、打ち出しの3つの数字が同じなら、Omniは同じキャリーを返します。

そのあと、同じ56度を2本、80球で確かめ直しました。前回はロフトの違う4本でしたが、今回はロフトが同じでヘッドとシャフトが違う2本です。それでもキャリーの出方は変わりませんでした。同じ56度2本を、18日後にもう一度打ちましたに書いています。

測った日も、入っていません

同じことを、日付でもやりました。

8月11日、19日、21日。朝と夜、別のセッション、別のクラブ構成。それでも日付による差は出ませんでした(F値1.83、p値0.16)。差の大きさは0.033ヤードです。

測定器を立ち上げ直した13回ぶんで分けても同じでした(F値0.88、p値0.57)。

Omniのキャリーは、どのクラブで打ったかも、いつ打ったかも見ていません。標高を見ている見込みは、これでかなり薄くなりました。

危うく、日付で2.6ヤード違うと書くところでした

ここは失敗の話です。

最初、球を絞らずに409球全部を使いました。式も、3つの数字をそのまま足すだけの単純なものでした。

そうしたら、日付の差が2.58ヤードと出ました。統計的にもはっきり差がある、という結果です。このまま書いていたら、Omniのキャリーは日によって2.6ヤード違う、という記事になっていました。

そうではありませんでした。

409球には、総距離3.6ヤードのバニラピッチから23ヤードのアプローチまで混ざっています。この幅を単純な足し算の式でまたぐと、式が追いつきません。追いつかなかったぶんを、日付の欄が吸ってしまう。

式を細かくしていくと、日付の差はこう動きました。

式の形「日付で違う」と出た差
そのまま足す式2.581ヤード
2乗を加えた式0.092ヤード
もう1段細かくした式0.032ヤード
さらに1段0.026ヤード
式の形を足していくと、日付の差は2.581ヤードから0.026ヤードまで消えた

日付が変わったのではなく、式が足りなかっただけでした。

この型は前にもやっています。番手を替えてもキャリーとランの比が動かなかった話のときは、ボール位置を固定したまま番手だけ替えていました。仕組みで変数を消しておきながら、その変数を動かして確かめようとしていた。今回は、道具の側ではなく自分の計算の側で同じことをしました。

比べるものを揃えないと、揃っていないぶんが答えのふりをして出てきます。

キャリー距離調整は+0%のままでした

キャリー距離調整は+0%でした。これは私にとって都合のいい数字です。

もし途中で動かしていたら、8月19日の80球と8月21日の260球は、比べられない記録になっていました。同じ球を打っても、表示されるキャリーが違ってしまうからです。動かした覚えがない、という理由で無事だっただけです。

ここから、測定器のレビューについて1つ言えることがあります。

キャリーが何ヤード出た、という数字は、その機械の性能だけで決まっているわけではありません。少なくともOmniでは、利用者が自分で決めた補正が掛かったあとの数字です。誰かのキャリーを読むときは、その人がこの設定をいくつにしているかも一緒でないと、意味が定まりません。

蓼科には、測定器を持っていきませんでした

結局、持っていきませんでした。ゆっくり計測している時間が取れないと判断したからです。

なので、この記事に高地のデータはありません。高いところで飛んだかどうかは、書けません。

そして今のところ、それを確かめる手段を持っていません。

Omniはこの記事のとおりです。キャリーが計算で出ていて、空気の濃さを見ていない。Garmin R10も計算寄りで、同じ問題が残ります。ガーミンのラウンド記録は、距離がキャリーとランの合計なので使えません。高いところでは着地角が浅くなってランが増えるぶん、標高の効きを大きく見せてしまいます。3ラウンドでは球数も足りません。実際に飛んだ球を追ってくれるトップレーサーは、蓼科にはありません。

外に持ち出すと、設置面の高さも効いてきます。測定器を置く場所と打席に段差があったので、古いパターマットを重ねました

道具は揃っているのに、確かめられないことがある。自分の記録を後から開いても、知りたいことがそこに無いという話と、同じ形です。

この数字が使える範囲

確かめたのは、私の1台のOmniで、自宅の6畳の部屋で、6ヤードから24ヤードのアプローチを打ったときの話です。

秒速7.9メートルから15.7メートルの範囲に絞っています。ドライバーの速さでも同じ式が成り立つかは、確かめていません。

同じクラブで打った球どうしでは、初速とキャリーがほぼ一対一で並びます。ですから、当たり方の割合が99%を超えること自体は、ある程度は当たり前です。効いている証拠のほうは、食い違いが表示の刻み幅に近いところまで小さいこと、そしてクラブと日付のどちらを足しても当たり方が変わらないことのほうです。

設定に標高の項目がないことは、計算に空気の濃さを使っていないことの証明にはなりません。ただ、クラブも日付も入っていない式に、標高だけが入っているとは考えにくいところです。

次にやること

同じ確かめ方は、場所にもそのまま使えます。自宅と高地で同じ速さのPWを20球ずつ打って、場所の欄を式に足す。差が出なければ、この機械は場所を知らない、と言えます。

今回わかったのは、その確かめ方が空振りしないということです。日付とクラブで先に試して、どちらもきちんとゼロが出ました。

もう1つ。3台の測定器を並べる企画では、Omniと練習場のトップレーサーのキャリーを突き合わせます。トップレーサーは実際に飛んだ球を天井のカメラで追っています。Omniは計算で出していて、しかも利用者の補正が掛かっています。

この2つの平均が何ヤードか違ったとしても、それは機械の優劣ではありません。補正の設定の差が混ざります。比べられるのは、ばらつきのほうだけです。

この記事のあと、練習場でトップレーサーとガーミンR10も並べて、同じことを3台で確かめました。弾道測定器を3台並べたら、3台とも補正が掛かっていましたです。補正を持っていたのは、Omniだけではありませんでした。

キャリーには、利用者が動かせるつまみが付いていました。スピンのほうには、つまみどころか設定そのものがありません。Omni に接続している間、スピンの出し方は選べませんでした。接続をスキップすると出てくる設定が、接続すると消えましたに書いています。

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この記事を書いた人

ゴルフ歴25年、自己ベスト78。2012年からゴルフの上達法をブログに書いてきました。
同時期に読書ノートのブログも運営し、約200冊分の記録を残しています。

現在は弾道測定器3台を使い、本で読んだ理論を実際に測って確かめる作業をしています。

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